訪日外国人観光客数は近年3,000万人を超え、コロナ禍前の水準を回復しています。しかし「外国人客を呼び込みたいが、何から手をつければいいか分からない」という飲食店オーナーの声を多く耳にします。
本記事では、インバウンド集客に成功している飲食店の実践例をもとに、今日から始められる具体的な10ステップをご紹介します。
なぜ今、インバウンド集客が重要なのか
日本政府観光局(JNTO)のデータによると、訪日外国人の消費額は年間5兆円を超えています。そのうち飲食費は約20%を占め、1人あたり平均4万円以上を飲食に使っています。
訪日客は日本人客と比べて1回あたりの客単価が1.5〜2倍高い傾向があります。さらに、SNSでの拡散力が強く、一度満足すれば口コミで新規客を呼び込んでくれる可能性も高いのです。
【ステップ1】Google ビジネスプロフィールを英語対応させる
訪日外国人の約8割がGoogle マップで飲食店を検索します。まず最優先で取り組むべきは、Google ビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の多言語対応です。
具体的な設定手順
- Google ビジネスプロフィールにログイン
- 「情報」タブから店舗名・説明文を英語で追加
- メニュー写真に英語表記を追加(Google翻訳でも可)
- 営業時間・定休日を英語で補足説明に記載
- 「属性」で「英語対応可能」などを設定
特に説明文では、店の特徴(「新鮮な魚介」「ベジタリアン対応」など)を具体的に記載することで、検索結果での表示順位が向上します。
【ステップ2】メニューを多言語化する
外国人客が最も困るのが「メニューが読めない」こと。最低限、英語メニューの用意は必須です。
低コストで実現する方法
- 無料翻訳ツールを活用:DeepLやGoogle翻訳で基本的な翻訳を行う
- 写真付きメニュー:料理の写真があれば言語の壁を超えられる
- QRコードメニュー:多言語対応のデジタルメニューを作成(無料ツール多数あり)
- アレルギー・宗教対応:「豚肉不使用」「ハラル対応」などのアイコンを追加
完璧な翻訳でなくても、努力する姿勢が伝われば外国人客は好意的に受け止めてくれます。
【ステップ3】キャッシュレス決済環境を整える
訪日外国人の多くは現金をあまり持ち歩きません。カード決済やQRコード決済に対応していないだけで、来店機会を逃している可能性があります。
観光庁の調査では、訪日客の約70%がクレジットカードを主な支払い手段としており、特に欧米圏の観光客はほぼ100%カード決済を希望します。
導入すべき決済手段
- クレジットカード:Visa、Mastercard は必須。American Express、UnionPayもあれば理想的
- 電子マネー:Apple Pay、Google Pay、交通系IC(Suica等)
- QRコード決済:PayPay、Alipay、WeChat Pay(中国人客向け)
現在は手数料3%前後で導入できるサービスが多く、初期費用も無料のケースがほとんどです。
【ステップ4】外国人が検索するキーワードを把握する
日本人と外国人では、飲食店を検索する際のキーワードが異なります。
外国人がよく使う検索ワード
- 「Tokyo ramen near me」
- 「Halal restaurant Osaka」
- 「Vegetarian sushi Kyoto」
- 「Best izakaya Shibuya」
これらのキーワードをGoogle ビジネスプロフィールの説明文や投稿に含めることで、検索されやすくなります。
【ステップ5】写真・動画を充実させる
ビジュアルコンテンツは言語を超えたコミュニケーションツールです。
効果的な写真撮影のコツ
- 料理の接写:美味しそうな湯気や質感が伝わる写真
- 店内の雰囲気:座席、カウンター、個室など多角的に撮影
- スタッフの笑顔:「温かく迎えてくれそう」という印象を与える
- 外観写真:「ここだ」と分かりやすい入口の写真
スマートフォンで十分ですが、明るい時間帯に撮影し、定期的に更新することが大切です。
【ステップ6】口コミを積極的に集める
外国人観光客の約90%がGoogle口コミを参考に飲食店を選びます。特に英語の口コミが多い店は選ばれやすい傾向があります。
口コミを増やす実践テクニック
- 会計時にQRコードで口コミページへ誘導
- 英語で「よければレビューをお願いします」とお願いする簡単なカードを用意
- 良い口コミには必ず返信する(英語でも短い感謝の言葉でOK)
- 悪い口コミにも丁寧に対応し、改善姿勢を示す
口コミ返信は、他の潜在客も読んでいることを忘れずに。誠実な対応が新規客を呼び込みます。
【ステップ7】外国人向けSNSで情報発信する
Instagram、Facebook、X(旧Twitter)は外国人観光客が日本の情報を収集する主要チャネルです。
効果的な投稿のポイント
- ハッシュタグ:#TokyoFood #JapaneseRamen #OsakaEats など英語タグを併用
- 投稿文:日英併記が理想。英語のみでも可
- ストーリーズ:調理風景や日替わりメニューをリアルタイムで発信
- 位置情報タグ:必ず付けて検索されやすくする
週2〜3回の投稿でも、継続することで着実にフォロワーが増えていきます。
【ステップ8】予約システムを英語対応させる
電話予約のみでは、外国人客を取りこぼしてしまいます。
おすすめの対応方法
- オンライン予約:TableCheck、OpenTable など多言語対応の予約システムを導入
- メール予約:英語対応可能なメールアドレスを明記
- SNS DM:InstagramやFacebookのメッセージでも予約を受け付ける旨を明記
予約確認メールも英語で送れると、さらに親切です。
【ステップ9】簡単な英会話フレーズを共有する
流暢な英語は不要です。以下の基本フレーズをスタッフ全員で共有しましょう。
接客で使える簡単英語
- 「Welcome!」(いらっしゃいませ)
- 「How many people?」(何名様ですか?)
- 「This is our recommendation.」(これがおすすめです)
- 「Enjoy your meal!」(どうぞお召し上がりください)
- 「Thank you very much!」(ありがとうございました)
これだけでも外国人客は「歓迎されている」と感じ、満足度が大きく向上します。
【ステップ10】外国人客の満足度を高める工夫
集客後の体験こそが、リピートと口コミを生みます。
満足度を上げる具体策
- Wi-Fi環境:無料Wi-Fiは必須。パスワードを英語表記で掲示
- 食べ方の説明:写真やイラストで「箸の使い方」「つけ麺の食べ方」などを説明
- 記念撮影スポット:店内に「写真OK」のエリアを設ける
- お土産情報:近くの観光スポットやお土産店の情報を提供
最近では、外国人客が感謝の気持ちを表すために「チップを渡したい」というニーズも増えています。QRコードでスタッフに直接デジタルチップを贈れるサービス(例:TipJapan)を導入する店舗も増えており、スタッフのモチベーション向上にもつながっています。
まとめ:小さな一歩から始めよう
インバウンド集客は、すべてを完璧にする必要はありません。まずは以下の3つから始めてみましょう。
- Google ビジネスプロフィールの英語対応
- 写真付き英語メニューの作成
- キャッシュレス決済の導入
これらを実施するだけで、外国人客の来店数は明らかに変わります。そして来店した外国人客が満足すれば、彼らがSNSや口コミで新しい客を連れてきてくれるのです。
インバウンド需要は今後も拡大が予想されます。今から準備を始めることで、競合店に先んじて外国人客の「行きつけの店」になることができるでしょう。